現在の工場現場では、各種フィールドバス、産業用EtherNet等を使用して、多くのオートメーション機器間で自由にデータをやり取りできるようになりつつあります。
しかし、現実にはセンサ・アクチュエータまでにはデジタル通信が届いていないことが多く、現場の末端機器までネットワークが行き届いていません。この課題を解決するために生まれたのが「IO-Link」です。センサ・アクチュエータ等の末端機器からの測定値、パラメータや診断データ通信を可能にする技術です。
IO-Linkが生まれた経緯
従来、製品や装置の立上げ時には、センサ・アクチュエータごとに異なる各種の配線作業を行い、異常箇所の特定から交換に多くの時間が必要でした。しかし、工場内の設備をデジタル通信でシームレスに接続するには、センサ・アクチュエータに至るまであらゆる製品を双方向で通信することが必要になります。
また、ケーブル断線やセンサ・アクチュエータ接続の検知、共通パラメーター・データの管理を行いたいなどの要求によってIO-Linkは生まれました。
IO-Linkの特徴
今までアクセスできなかったセンサ・アクチュエータ内のデバイス情報も監視や設定ができ、マスタとデバイスが双方向通信できます。また、IO-Linkではハードの接続仕様を統一できるため配線の間違いが無くなり、フィールドバスや産業用EtherNetなどと組み合わせることにより配線工数を削減することができます。
これらの特徴により下記のことができるようになります。
作業効率向上、部品・作業標準化、予兆保全、メンテナンス性向上
通信速度
伝送ボーレートは3つ規定されています。
COM1=4.8kbps
COM2=38.4kbps
COM3=230.4kbps
上記のいずれか一つのボーレートを使用します。
マスタはすべてのボーレートに対し自動的に適合します。
IO-Linkの市場
プロフィーバス協会の調べでは2017年時点で810万台と、年々、増加傾向にあります。日本国内でのデータはありませんがIO-Linkの市場は拡大しており、これからも成長していくと予想されています。
IO-Linkを使用した場合
《予兆保全》
これまでの問題点
フル稼働している搬送工程で、塵・埃などが光電センサの検出面に溜まり、センサが誤検知し設備が止まってしまうことがある
IO-Linkなら
塵・埃など、光電センサの検出面に影響ある工程で光電センサの受光量を測定することで
誤作動の発生前に、予兆保全を行うことができます。
《ダウンタイム低減》
これまでの問題点
異常表示されていても、確認しに行くと外部へのエラーが検出されておらず、停止原因が分からない。また、異常原因を保全担当が調査しても、異常の特定から交換まで時間がかかりドカ停止することがある。
IO-Linkなら
センサの異常個所と現象をリアルタイムに把握でき交換がスムーズになる。
《工数削減》
これまでの問題
ラインに設置されたセンサのI/Oを一台ずつ確認するため時間が膨大になってしまう。
IO-Linkなら
1.センサ交換の際の設定を上位から一括で書き込み。
2.段取り替えの際のI/Oチェックの手間を削減。